第4章 叶わない願い
(・・・そっか。
秀吉さんの主は信長様なんだ。
私を馬に乗せて運んでしまったら、秀吉さんにまで迷惑がかかってしまう。
最初の出会いは最悪だったけど、今はもう秀吉さん、それに他の武将たちの優しさが分かるから・・・
迷惑をかけることはできない。
自分で、やるしかない。
やっと夢だったデザイナーへの道が開けたばかり。
絶対、現世に帰ってやる!
まずは自分で馬に乗れるところから。
本能寺に行けば、何かきっとわかるはず。)
「あ、あの・・・莉乃様? 」
「あっ、ごめんなさいね、変なことを口走っちゃって。
私、頑張りますからっ」
と顔の横で拳を握って笑顔を見せた。
________ 障子の向こう、影がそっと動く。
「ふっ、変な子。心配して損した。」
誰に聞かせるでもないその声は、静かに遠ざかっていった。