第13章 ★星の下★
自分が強くて良かったと思えたのは始めて。暗殺の術を磨いたのがこのためだったようにも感じる。殺し以外で生きていていいのだと言われた気がした。
兵士長は涙が止まらない私をただずっと抱きしめてくれる。心が軽くなっていくのが分かった。
私が全然泣き止まないので、痺れを切らした兵士長は再び口づけをしてきた。涙を舌で舐め取られ、くすぐったさを覚える。
「チッしょっぺえな」
「そりゃそうですよ!」
そんなに表情が変わっていないのに兵士長が嫌そうじゃないのが何となく分かる。私は可笑しくなって笑ってしまう。
「お前は能天気に笑ってりゃいい」
頭を優しく叩かれる。その部分が熱を持って体の芯が熱くなっていく。
「いやいや、それが出来たら誰も苦労しないですよ」
ほんとに。私自身がそう思う。何も気にせず笑っていられる世界が来ればいい。
「それでも笑え」
中々難しい事を仰る。反応しようとしたが、兵士長の瞳がすごく真剣そうで、何も言えなくなる。
「お前の笑顔が無いと落ち着かねえ奴もいるからな」
自然と唇が重なる。入ってきた舌を絡めあう。唇を離すと糸が垂れた。
兵士長の舌が耳の中へと入れられる。水音が直に聞こえてきて変な気分になってくる。それに、何だか体が敏感になっていて体が反応してしまう。手が服の隙間から入ってきてお腹を撫でた。それだけなのに体が震える。今日の私はどうもおかしい。体がやけにすんなり受け入れるというか、すごく感じる。
「前より敏感じゃねえか。ミケとエルヴィンに余程躾けられたらしいな」