第13章 ★星の下★
「病室戻るぞ」
まだ頭がぼーっとしていて、声が上手く出せなかったので、大きく頷いた。頭を撫でられ抱きかかえられる。団長よりも視線が低い。比べてしまうのも失礼だけど。
屋上から出ると申し訳なさでピッキングして施錠し直した。体は勝手に動くもので、気が付いたら施錠し終えていた。職業病というやつなのかな。
揺れる振動が心地よくて知らない間に完全に体重を預けていた。
無人の病室に戻りベッドへと優しく降ろされる。掛け布団をかけられゆっくり目を瞑った。何か大事な事を忘れている気がする。
「そういえば、私は明日何をすればいいですか?」
「俺と一緒にエレンをボコるだけだ」
「……私、殴る蹴るは自信ないです。銃とナイフで脅すのは出来ますけど」
「それでいい」
エレンが私を見てどう反応するかが怖いなぁ。同期として接する? いやいやそういうわけにもいかない。
団長命令ならやるしかないけど、正直面倒くさい。憲兵のお偉いさんも来るわけだし。久々に演技とは言え拷問に立ち会うから、表情には気を付けないといけない。この人がどれほどの力でやるかは分からないけど、確実に血は見るだろうし。
「明日朝、迎えに来る。着替えはハンジが持って来てあるだろ?」
「分かりました」
リヴァイは部屋の扉へ向かいドアノブに手をかけると、そのままの体勢で言葉をかけてきた。
「……ミケの事は悪かった」
「……それは、指示を与えた事に対してですか? それとも彼が私情で動いたことですか?」
言うつもりは無かったのに無意識に言葉が出ていた。
「両方だ」
「気にしていません。逆の立場だったら同じことをしたと思います」