第12章 ★脅迫★
「どうしたんだ? そんなに切羽詰まってるのか?」
「ちょっと嫌な予感がしてるの。私の予感は当たるから……」
品物を全て確認する。投げは同じ物なので軽く確認するだけ。予備用のナイフは、細かくチェックする。最悪投げるので、投げ用としても構えたり、回してみたり。違和感は無い。重さも私が使うにはいい重さ。問題ないと判断する。
カウンターにお金を置き、武器を仕舞っていく。いつもより重量オーバーなので、体がやや重い。まあ、帰るまでの我慢だ。
「ありがと」
「生きて帰って来いよ」
私はその言葉に返事をせず店を出る。あとは帰るだけだ。
「お待たせしました! 帰りましょう」
「あ、ああ……」
「? どうかしました?」
そういえば店主の言葉でちょっとテンションが回復して、今日初めて笑ったかもしれない。警戒心が少し解けていたかな。まあ、いいか。足取り軽く岐路につく。お腹が空いたけど、流石にこの二人で食べに行きましょう、とは言えないので宿舎まで我慢だ。
宿舎に入るまで、何だか声を掛けづらく、無言だった。入り口でいい、と言っているのだが、部屋まで運ぶと言ってきかないので、部屋に入れる。まさか、そう簡単に男を部屋に入れてしまう事になるとは思ってはいなかった。
「どこに置けばいい?」
「床ならどこでも大丈夫です。お礼にお茶でも飲まれますか? 言っておきますがお酒は付き合えませんよ?」
買い物している最中に、ミケ分隊長は唯一お酒を購入していたのを見逃してはいない。ここ最近の経験上、近づいてはいけない気がするので、距離を取ってはいる。
「ああ、構わない。少し、お前について聞いてもいいか?」
「……グラス用意します」