第12章 ★脅迫★
「そうですか……改めまして、中央第一憲兵団第二班所属アリア・テレーゼ兵士長。本日より調査兵団へ配属となりました。リヴァイ兵士長の秘書を拝命致しました」
形だけの敬礼。これから起こる波乱の出来事。その序章に過ぎない事を、私は何となく感じていた。一〇四期に固まった護衛対象。五年前に破られた壁と、トロスト区。これは偶然では無いと感じている。一〇四期には何かがある。それはきっと二人も分かっている。
考え事をしていたら急に腕を掴まれて視界が遮られた。吃驚している間にエプロンドレスのスカートが捲られ、下腹部を触られる。
「あ……」
慌てて口を塞ぐが遅く、吐息が漏れ出た。
「これは俺へのプレゼントか? リヴァイ」
「ああ。気に入ったか? クソ野郎」
あるべきものが無くなっている事に当然気付かれているわけで。二人が腹の探り合いをしているのが何となく分かった。
「そういうのは私がいない所でしてよ! あ」
敬語が抜けてしまった。
「……してー……くださー……い……」
穴があったら入りたい!! むしろ声に出すつもりなんか無かったのに。
「俺とお前の階級は仮にも同じだろ。クソ野郎にも遠慮はいらねえ」
「そうですねー……あー……ところで、私の本日の予定が知りたいのですが?」
「調整日になっている。荷物の整理等やりたい事もあるだろう。リヴァイに部屋を案内してもらったら、好きに過ごして構わない。夜は私の仕事を手伝ってもらいたいので、夕食後に執務室へ来てくれ」
「了解しました」
調整日かー……。調整日と言いつつ執務室に呼ぶのは職権乱用だよな。なんか、もう、慣れてきたけど。夜まで何しようかな。
「いい加減離れろ。さっさとしねえと置いていくぞ」
「その前に着替えさせてくださいっ」