第12章 ★脅迫★
「問題は、転属の部分と、エレンが護衛対象に選ばれた点だ。これだと私が中央第一だったのを公に晒した事となる。もちろん、訓練兵として入っていた事もだ。それの辻褄合わせはどこまで終わっている? とにかく、兵団の役職持ちは全員知っていると仮定しておいていい。しかし、これをどこまで話していいかが分からない。迂闊に喋るとボロが出る。寡黙を装う? いや、一〇四期には無意味だ。別人を装うのが一番早いかもしれない。が、それもいつボロが出るか分からない。エレンの護衛の件だが、おそらく鍵を握るのはエレンの巨人化能力。それがそんなに脅威なのか? いや、脅威だとは思うけれど、ぶっちゃけ私じゃなくてもよくね? ミカサがいるし出なくてもいいと思うのだけど」
ああ、面倒くさい。これだから文でのやり取りは嫌いだ。近いうちにケニーと会う必要が出てきた。ということは、この状況からの脱走? いや、脱走しても確実に捕まって確実に物理的な意味で呼吸が止まる。穏便に済ませるには、協力を仰ぐしか無い。でも、協力ってどうやってお願いすればいいの? 何にも分からない。
盛大な溜息が出る。頭も痛い。
「オイ、自問自答は終わったか?」
「終わってないです……」
「では、三人で物語を作ろうか」
お互いが持っている情報を交換していく。エレンが地下牢に居る事。正式に転属手続きは終えている事。もう一人の護衛対象に誰かが潜伏する可能性がある事。そして、先の戦闘でマルコの遺体が発見された事。犠牲者は既に火葬された事。
「アリア。君にはリヴァイの秘書として動いてもらう」
「……は??」
自分でも思ってなかった程の間抜けな声が出た。
「君の階級は兵士長であり、潜入調査を終えて帰還した所に転属命令が下った、という筋書きにされている」
そう言って渡された会報。
“憲兵団の潜入調査によって麻薬密売組織が壊滅”
「……流石憲兵様。情報操作はお得意でございますか……逆に、幹部をやらせない訳にはいかなくなった、と」
「君は実力もある。エレンの身柄を確保すれば、エレンはリヴァイ班に入れる。君も同じ班に居た方が都合もいいだろう?」
「リヴァイ兵士長は、それで宜しいのですか?」
「構わん」