第11章 ★知らない感情★
反論したいのに、体が震えて声が出ない。体の疼きが止まらない。これ以上されたくないのに、体はそれ以上を求めて止まない。矛盾。欲しいのに欲しくない。欲しくないのに欲しい。
薬だって使われていないのに、私は……。
――じゃあ、薬なしでも気持ちよくなれるということを教えてあげよう――
昨日エルヴィンに言われた言葉が脳裏に過った。これが、そういうことなのだろうか。
「アリア」
「は、い……」
「どうしてほしい?」
張形を動かされ愛液と喘ぎ声が漏れる。あんなに冷たかったのに、今は生暖かくて無機物なのを忘れそうになる。腰が勝手に快楽を求めて動き出す。そんな姿も全て見られている。それが私をさらに興奮させた。
エルヴィンになら、見られてもいい。そう思ってしまった。
私の仕事は、ヒストリアの護衛。私は、中央第一憲兵団所属。ケニーの部下。私の命はケニー次第。ケニーに言われるがままに仕事をこなすだけの部下。暗殺だってしてきた。ただ必死に殺されないように生きるすべを磨いた。生きるすべを磨いて、必要だから立体機動も覚えた。兵士にもなった。ひたすら銃の練習をして、ナイフも扱えるようにした。
それが、ただ一人の男に全てを狂わされている。一人の男の物になれと言われ、蹂躙されている状況。
口元に笑みが浮かんだ。この状況をケニーやトラウテが見たらどう思うだろうか? 一人の女に成り下がろうとしている私を笑うだろうか? ねえトラウテ。あなたがケニーに対して抱いている気持ちは、これと同じ? どうしたらこの人の物になれるか考えてしまう愚かな私を許してほしい。
アイマスクを外され、視界に入ってきた端正な顔。その瞳に写る私は、どんな顔をしているだろうか?
「……さい……」
「きちんと言ってごらん」
「くださいっ!」
「”アリアの淫乱マンコにエルヴィンのチンコを入れてください”と言ってごらん?」
「っ! どこ、までも、あなたはっ!」
「言えなければ今日はここまでだよ」