第9章 演習
「悪いが一日調査兵として過ごしてもらう。悪く思うな」
そう言って調査兵団の兵服と私の武器一式が渡された。
「拒否権は?」
「あるわけねえだろ。さっさとしろ」
「……了解しました」
思う所は大量にあるが、言ったところでどうしようも無いので、まずは着替える事にする。そして、それに気づかざるを得なかった。
「……下着無いんですが……」
「あるわけねえだろ」
ですよねー。一日ノーパンとかとんだ痴女にされた。
仕方なく表面上は全ての着替えを終え、武器を全て仕込む。悔しい事に、昨日部屋から出る時に用意した武器全てが返却された。そして、最後に残ったのは見覚えのない短銃。シリンガータイプのシンプルな銃だ。
「これは?」
「ケニーに教わったなら使えるだろ。今日一日だけ持っておけ」
弾を確認すると、全弾装填済み。代わりの弾が30発分置かれていた。そんなに撃てと? まあナイフより得意なので有難いと言えば有難いが、何もかも見透かされている気がする。
「……試しに打ってみてもいいですか? 慣れない武器は持ち歩きたくないので」
「構わん」
安全装置を解除し、壁に向けて一発撃った。思ったよりも衝撃が軽い。狙いとの誤差は少ないが、正直撃った感触が薄すぎてつまらないと感じた。まあ、いい銃ではあると思う。よく言えば素人向け。
撃った分の弾を補充し、安全装置をつける。服に仕込みなおし、武器が見えていないか確認する。一応大丈夫そうだ。
ご丁寧に用意されているハチマキを頭に巻き、準備は整った。
「行くぞ」