第6章 トロスト区奪還作戦
一度息を整える。振り返りながら刃を射出し巨人の目を潰す。そこに、今まで傍観していたその人が背後に回ってうなじを削った。はぁ、何とも無駄のない動き。体を回転させて威力の増加も行うのか。確かに逆手だとやや切り口が浅い時があるので、今度練習しておこう。
周辺に巨人がいなくなったので、一度壁の上へと向かう。そこには、数名の調査兵団が居た。あー……待って、コレ状況説明するの私なの? 正直しんどいんですけど……。
「壁内に残っていた巨人の駆逐は完了したようです」
兵士が報告をするって事はだいぶ上官じゃないのか……。胃が痛い。帰りたい。もう帰っていいですか? ダメ? そうですか……喋るの得意じゃないのに。
「壁に開いた穴は大丈夫なんでしょうか……」
「心配ない。すでに駐屯兵団工兵部が、封鎖作業を開始している」
さっき援弾を上げていた駐屯兵団の方と、明らかにタダ者じゃない雰囲気の男性を連れてやってきた。もう、好きにして。
「駐屯兵団には多大な負担をかけてしまって、力になれず申し訳ない」
何で私ここに居るんだろう。ほんと辞めて。
「リヴァイ、ご苦労だった」
ねぇ、ほんとにもう帰っていいですか!? 立場的にここにいるのほんとに精神的に辛いんですけど!? 私ただの、あ、いや、ただのではないけど、一応新兵なんです。いきなり、明らかに精鋭的な人たちと会うの嫌なんですけど。さっき、失言したばかりなんですけどぉ!?
「労いの言葉なら、まずそこのガキに掛けてやれ」
ああああああ話を振らないでええええ!
「……新兵か?」
「104期訓練兵のアリア・テレーゼです」
敬礼する。握った手が汗だくな事に今頃気付いた。心臓が潰れる。ほんとに潰れる。