第6章 トロスト区奪還作戦
「アリア! 手を貸してくれ!」
「マルコ!?」
「ジャンの立体機動装置が故障して、ジャンが危険なんだ!」
「っ!?」
気がついた時には飛んでいた。マルコに付いていくと、ジャンがまさに死んだ兵士から立体機動装置を取ろうとしている所だった。その後ろに、6メートル級が1体。迷わずにうなじを削ぐ。
「落ち着いてジャン! 落ち着けばあなたなら行けるはずでしょ!」
「アリア!? マルコ!? 何やってんだ!?」
ジャンの周りの巨人を、コニーとアニとマルコと私の四人で引き付ける。他人の立体機動装置が使い心地が悪いのか、飛ぶのにも苦労している。倒れたジャンのそばに近づく巨人のうなじを削ぐ。そのまま全員で壁の上を目指す。
「無茶しやがって!」
「無茶はお前だろ!」
「生きた心地がしねぇよ……」
何で、ジャンの命を助けたんだろう? 完全に無意識だった。気が付いたら体が動いていた。ちょうどいいや。私はガスの補充に入る。きっとまだ、私にはやれる事があるはず。その為にも少しだけ休息する。
「アリア」
「どうしたの? アニ」
「あんた、何でジャンを助けたの? いつもは見て見ぬフリをするくせに」
ああ、バレてたか。
「……それは、お互い様でしょ」
ふいにジャンに触れられた所が熱を帯びた気がした。借りは返せたかな。
「!? アレを見て!」
アニの声に全員が振り向く。大岩が移動している……?
「邪魔をさせるな! エレンを援護するんだ! アリアはガスの補充が終わったら来い!」
ジャンの声に全員が再び壁を降りた。私もガスを満タンに補充し終えたら装備し直し、軽く点検する。ジャンみたいに故障されたら困るしね。
空を飛ぶ中で、私はそれを見た。大岩が壁まで移動し、穴を塞ぐところを。私はなおも飛び続けエレンのそばまで降り立つ。そして、後ろからやってきた2体の巨人が私へと手を伸ばす。その手にアンカーを刺し勢いで指を切断し、空中へ飛んだ瞬間。
私の顔に血しぶきがついた。
一瞬自分が負傷したのかと思ったが、違った。緑の鳥が巨人のうなじを削いだ。バランスを崩した私は何とか体勢を立て直そうとするが、その前に鳥に抱えられていた。そして、倒れた巨人の上へと降り立つ。
この紋章は……。