第5章 初陣:温もり
そう言ってまた離れていった。
運よく下着もあったので、合わないけれど着用する。まだ、背中に熱を感じる気がする。たぶん、気のせいだ。気のせい。
私のサイズの隊服が無かったので、袖とかだいぶ余ってしまった。いつも通りナイフを身に着け、立体機動装置を装着する。折角なので、ハチマキはそのまま付けておこう。
布の擦れる音が無くなったからか、ジャンがまた近づいてくる。こういう時、距離を取るべきなのだろうか?
右手で頭を撫でられる。
「シャワー浴びさせてやりてぇな」
「時間無いから仕方ないよ」
「わざわざ何があったかは聞かねぇけど、よ。……生きてて良かった」
「まだここから無事に脱出しないと終わらないよ」
「そうだな。行くか!」
「うん」
ゆっくり出口へと向かう。仲間ってこんな感じなのかな。暖かい。ケニーとは違う暖かさ。壁上への撤退ルートを確保するため、本部から飛び立つ。
目の前で人が食べられていくのを横目で見ながらそれを見ないフリをしながら巨人を倒していく。折角の新しい隊服が返り血で赤く染まっていく。そうこうしているうちに10体は討伐出来たと思う。
本部周辺の安全を確保できたと思う。救援要請を見つけ次第向かい巨人を倒す。そんな時、雄叫びが聞こえてきた。例の巨人に他の巨人が群がっている。いや、ただ群がっているだけじゃない。
「共食い……」
遠くにそれを見つめるミカサとアルミンが居た。とりあえず、二人に合流しようと近くへと降り立つ。おかしい。巨人なら体の再生能力があるはずなのに、再生されずただ捕食されている。
腕をもがれても、巨人へと走り出しうなじに噛み付く。それほどの怒り。執念。それを私達は黙ってみているしか無かった。下手に近づけば巻き込まれる。周りの巨人が居なくなると、雄叫びを上げながらゆっくりと倒れていく。
「流石に力尽きたみてぇだな」