第5章 初陣:温もり
一斉に銃の音が響いた。連射出来ないので、一発限り。それを合図に、7人が斬りかかった。が、サシャとコニーは仕留めきれず、巨人が動き出した。
「よっ……と」
「アリア!?」
アルミンの声を背に、持っていたナイフを構え巨人に飛び移る。そのままうなじを切り裂き、2体目へと飛び移りうなじを削いだ。巨人ごと地面に落下しながら刃先を確認するが、刃こぼれ1つ無い。流石ケニーのくれたナイフだ。小型の方が扱いやすいな。
補給庫を奪還した事で、全員が補給作業へと移行する。どこか、みんな晴れ晴れとした表情だ。明るい声が響く。
「なぁ、アリア」
「どうかした?」
装備の点検をしていると、ジャンが隣にやってきた。予備の隊服も置いてあったので、着替えもしようと思っていたから、来られるとちょっと困るんだけどな。素直に、あっち向いてて、と伝えたら、背中を向けてくれた。
「俺は、指揮役に向いていると思うか?」
一瞬、服を脱ぐ手が止まった。そのまま、ワンピースを脱ぎ、タオルで軽く体を拭く。
「……ジャンは弱い人の気持ちが分かる人だと思うよ。現状認識能力も高い。アルミン程では無いけど、今すべき事が分かると思うよ」
「……そうか……お前もそう思うのか」
お前も?
頭に影が差し、後ろを振り向くと、ジャンが真後ろに立っていた。ちょっと離れようとすると、左腕を首に回され、背中にタオルの感触があると思ったら、背中を拭いてくれた。正直、届かなかったから有難いと言えば有難い。恥ずかしく無いと言えば嘘にはなる。久々に感じる暖かい温もり。レックスとは大違いだ。
「あり、がと……」
「あ、ああ! 悪いっ!」