第5章 初陣:温もり
ガスが無くなって飛べないミカサのガスとアルミンは躊躇なくガスを交換し、アルミンをコニーが抱え、ミカサと私で巨人を倒しながら本部へと向かう事が決まった。巨人を殺す巨人を援護しながら、だ。
提案したアルミンの思考力はリーダー向き。軍師には最適だ。私は、学が無いので、指揮下に入ることにした。生きてクリスタと合流しなければならない。無事でいるとは思う。ユミルもいるし、ケニーの部下がついているからだ。きっと。私についているわけではないと思う。
今日だけで何人巨人を倒したか分からない。何人生き残ったのかも分からない。とりあえず、真っすぐ進む。進んで進んで、たどり着く。
窓を蹴破り、本部へと入った。ミカサ、コニーとアルミンが続いて中へ入る。
「アリア! ミカサ!」
ジャンが驚いた顔をしながらこちらへ歩み寄ってきた。
「おまえら無事だったか」
「みんな! あの巨人は、巨人を殺しまくる奇行種だ!」
コニーが説明する。それも、すごく楽しそうに。そう、あれは、私たちが生きる為に必要な希望。
「しかも、俺たちには興味を示さない! アイツをうまい事利用できれば、俺たちはここから脱出できる!」
まずは補給庫の確保に乗り出す。補給庫に入る7体の巨人。リフトを使用して人を降下させ、一斉に銃撃。巨人の視界を奪った後、後ろから7人が1体ずつうなじを斬る。私は、銃撃の方へ回った。どちらかというと、銃の方が得意だから、作戦を提案したアルミンにそう進言した。下手な鉄砲数うちゃ当たる、でも正確な射撃をできる人も必要だ。腕が訛ってなければ、だけど。
リフトに乗り下降する。あぁ、ナイフより重い銃。この重みが好き。一斉に構える。銃の匂い。音。静寂の中で響く呼吸の音。右手をトリガーにかけ、姿勢を固定する。恐怖する声、混乱する声、泣き声、どんな声も遠く感じていく。巨人と目が合う。あぁ、銃を持っている時に目が合うのは始めてか。
さて、そろそろやろう。
「撃つ」