第1章 ずっと大好き 大切な幼馴染み
そう言って、お弁当箱を彼に渡した。
すると彼はその場に座り込み、お弁当の蓋を開けその中身をじっと眺めた。
「な、何よ?」
「随分量が多いな。お前、結構食うのか?」
「違うわよ!それはルフィと一緒に食べるために作ってきたの!だから量が多いの!」
「ああ、アイツはよく食うからな」
「え、あなたルフィと仲良いの?」
「あ?良いわけねェだろ」
そ、そんな睨んだって、知りませんけど…
「じゃあなんでルフィが大食いだって知ってるの?」
「いただきます」
え、無視?
ていうか、いただきますって…
見た目とギャップのある彼の礼儀正しさに、思わず笑ってしまいそうになる。
そして唐揚げを口に入れると、彼の動きが止まった。
「え、何?美味しくなかった?」
まさか中身が生だったのだろうか。
最近は料理にも慣れてきて味見をしない事も多い。
心配になって彼に話し掛けたというのに、また無視されてしまう。
「ちょっと、大丈夫?中身、生だった?」
「…美味い」
「へ?」
「全部食って良いか?」
「え、あ、うん…」
そう言うと、唐揚げ、おにぎり、卵焼き、おにぎり、生姜焼き、おにぎりと、必ず間におにぎりを挟みながら、あっという間にお弁当箱の中が空になっていく。
目つきは悪いが、スタイルが相当良い。
高校生モデルとかで雑誌とかに余裕で載っちゃいそうなくらい。
そんな大食いをするようには見えない彼の食べっぷりに、正直驚いた。
「ごちそうさまでした」
「お、お粗末様でした…」
(やっぱり礼儀正しい…)
「お前、いつも麦わら屋に弁当作ってるのか?」
「ううん、たまにだけど…」
「じゃあ今度俺にも作れ」
「は…?」
「俺は和食が好みだ。覚えておけ」
「な、なんで私がアンタの分作らなきゃいけないのよ…!」
「美味かったからに決まってんだろ」
「え、えー…」
そんな面と向かって言われると困ってしまう。
自分の作ったものを美味しかったと言われて嬉しくないわけがない。
だが、このお弁当は元々ルフィのために作ったものだ。
(ルフィ、ちゃんとご飯食べてるかな…)
「また麦わら屋の事考えてんのか?」
「えっ!?」
「本当、分かりやすい奴だな」
「…ッ」
そう言って笑う彼の顔を見て、心臓がドクンと鳴った気がした。