第1章 ずっと大好き 大切な幼馴染み
下を向いて落ち込んでいると、私の頭にパサッと麦わら帽子が被せられた。
「る、ルフィ?」
「そう落ち込むなよ。俺達は昔からもこれからも、ずっと一緒だろ?」
「う、うん…!」
クラスが離れてしまった事に酷く落ち込んだが、ルフィのその言葉でそんな気持ちが一気に吹き飛んだ。
やっぱり私、ルフィの事が大好き。
いつの間にか目から流れていた涙をルフィが優しく指で拭ってくれる。
少し周りが騒がしい。
それもそうだ、傍から見れば仲の良いカップルに見えているに違いない。
私には好都合だ。
絶望の淵に立たされたような次の日、ルフィと一緒に学校へ向かっていると、目付きの悪い緑頭の人が声を掛けてきた。
確か、ルフィと仲良くしている人物の一人だ。
私はあまりに喋ったことはない。
ついでに言うとなまえもうろ覚えだ。
「よォ、ルフィ」
「おう、ゾロ!」
「同じクラスになったな」
「ああ、むつきとは離れちまったけど」
「そうなのか?」
緑頭の人が私を見る。
「残念だったな」
「なッ…」
な、なんなのコイツ…!
せっかく心の傷が治まってきた所なのに自覚させるような事言うなんて…!!
緑頭の胸ぐらを掴んで一発入れてやろうと思ったが、あいにく私に武道や喧嘩の心得はない。
こういう時のために何か習った方が良いのだろうか。
そんな考えの私をよそに、ルフィと緑頭の人は話を続けていた。
「お、そうだルフィ。今日の放課後付き合え」
「お!この前言ってた新しい店か?」
「ああ、今日は負けねェ」
「イッシッシッシッ、今日も俺が勝つ!」
どうやら今日の放課後、この緑頭の人とフードファイトをしに行くようだ。
最近この二人の中で流行っているらしい。
私はルフィほど食べられるわけではないので、そんな日は一人で帰る事にしている。
「ルフィの馴染み、おめェも来るか?」
「いえ、私は大丈夫です」
「なんだよむつき!一緒に食べようぜ?」
「ルフィみたいにたくさん食べられないの知ってるでしょ?」
「んなもん、やってみねェと分かんないじゃねェか!」
いや分かるだろ。
この時ばかりは、緑頭の人と同じツッコミをしたに違いない。
そんなこんなで緑頭の人にルフィと二人きりの時間を邪魔されたまま学校に着き、ルフィ達と別れて自分のクラスの教室に着いた。