第9章 【美しいもの】FGO/マーリン夢
「お?それは君のご両親かな?」
『わっ・・!!!!!』
びっくりして、思わず写真を胸に抱きしめて、ぐるっと声のした方に振り返れば、そこには、花の魔術師マーリンがいた。さすが、彼にはあの結界は効かなかったか・・。
『マ、マーリン・・・お、驚かせないでください。びっくりしましたよ?』
「いやー、カルデアにこんな強固な結界が張られている場所があったら、気になって突破してみたくなってね」
『・・・まぁ、貴方ほどの魔術師にこんな結界は効かないでしょうね』
「でもわりと苦労したんだよー?頑張ったこの私にマスターから褒美が欲しいくらいだ」
『またそんなことを言って・・私は仕事中ですので、構ってほしいのなら他を当たってください。』
「冷たいなー私のマスターは。ところで、その写真は?」
と言って、胸に抱きしめている私の家族写真を指差した。
『・・・・・・・・・・・・・・・・私の、両親です。』
「なるほど。うんうん、マスターはお母さんの方に似ているね」
本当に美しい女性だ!とか言って、にこにこ笑っているマーリンはきっと、暇で私に構ってほしくて此処に来たんだろうと物語っている。はぁ、とため息をついたあとに、端末を一度閉じて、マーリンの方を向き直った。
「あれ、どうしたの?マスターは忙しいんじゃなかったのかい?」
『マーリンのために仕方なく、構ってあげることにします』
「ははは!優しいね、君は」
そう言ってゆっくり私に近付くマーリンは、そっと私の瞼に手を添えた。
「おやすみ、マイロード」
その声を聴いた途端、私の意識はいとも簡単に手放され、ふんわりと花の香りに包まれた。