第9章 【美しいもの】FGO/マーリン夢
『こ、れは・・・・上からの眺めも、すごい・・ですね』
「お気に召したのなら、なにより」
何もかもが美しかった。一面に広がる花々は汚れを知らない、純白だと思った。
『こんなに美しいのなら毎日見ていてもきっと飽きないのでしょうね。』
「どうかなぁ?私には君たち人間の世界の方がずっと飽きないよ」
そう話す彼は一瞬、どこか切なげに見えた。もう一度、美しい花園を見て、マーリンを見上げる。
『マーリンも美しいのですね。』
「んー?急にどうしたんだい?」
『この花々は本当に美しくて綺麗で、ずっと此処にいたいと思えるほどだと思います。それに、マーリンもとても美しいです。美しいものというのは、長く見ていれば、どんなものでも飽きてしまうのでしょう。けれど・・』
マーリンは不思議そうに私の顔を覗いている。私は迷わず、そのまま感じたことを口にした。
『けれど、私はマーリンに飽きるなんてことはけっしてありません。』
迷いなく口にした言葉にマーリンは見たこともない、驚いた顔をしていた。そのマーリンに自然に笑みが零れる。その瞬間ふわっと花の香りに包まれた。
「君は、本当に飽きない子だね」
マーリンはそう言うと、そっと私の頬に口づけを落とした。
美しく甘い、夢の一時だ。