第8章 【夏の思い出Ⅱ】FGO/ロマ二夢
『にしては、とても仲が良かったように思えましたが』
「あの子が無理やり、僕を誘ってて、僕は断り続けたんだけど、ついに腕を捕まれたところを、その・・君に・・・見られてしまって・・」
『まるで浮気が見つかってしまったみたいな言い方ですね』
「こんな時、異性になんて声をかけたらいいのか、分からなくて、その・・ごめん」
私だって分からない。このイライラ、モヤモヤした気持ちをどう整理したらいいかわかなくて、また二人無言になる。花火の音だけが響いていた。
「沙織ちゃん・・・伏せたままでもいいから、聞いてほしい。今日僕は彼女と何の約束もしていないし、会場でたまたま会ったところを話しかけられて、一緒に花火を見たいと誘われた。だけど、僕は君と見たいと思っていたから、それはできないとはっきり断ったんだ。それでも彼女は諦めてくれなくて、何度も何度も話の角度を変えて誘ってくるから、僕も早く君を捜しに行きたくて、お誘いには乗れません、とはっきり断って歩き出そうとしたところを、腕をがっしり掴まれた。そこで丁度沙織ちゃんと鉢合わせたんだ。これが、真実だ。信じてくれないかもしれないけど、僕が君と花火を見ようと思っていたのは本当だし、君を捜そうとしたのも本当だ。物的証拠が出せないから、その、何も信じれないかもしれないけど、僕が好きなのは沙織ちゃんだけだ。これは絶対信じて欲しい。」
やはり、ドクターは大人で私は子供なのだと思った。駄々をこねてる子供だ。もっと自分が嫌になって、また涙がこぼれた。