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Fate夢 短編集

第8章 【夏の思い出Ⅱ】FGO/ロマ二夢


会場につくと、すでに多くのサーヴァントやカルデアの職員の方で賑わっていた。懐かしい光景に昔を思い出してしみじみとしている傍らで、二人は目をキラキラと輝かせていた。一目ぐるっと見渡すだけでも、たこ焼き、焼きそば、イカ焼き、フランクフルト、冷やしパイン、きゅうりの一本漬けなど。金魚すくい、射的、輪投げ、などなど。食べ物も遊びも豊富だった。胸が高鳴るのは必然だった。
さっそく三人で一通り遊ぶことにした。
久しぶりの感じる日本の香りは、今までの休暇で一番心安らぐ一時だった。


「あー!また破れたああああ。うー・・おじちゃんもっかい!」
『まだやるの?!』
「先輩は負けず嫌いですね・・」
「絶対!うまく金魚ゲットしてカルデアに帰る時の思い出に
するんだもん!」


ううう・・・とかれこれ30分くらい立香ちゃんは金魚すくいに奮闘していた。私とマシュちゃんは二人でずっと金魚すくいの付き添いをしているのだ。立香ちゃんの方も気にしながら、私の目線はほぼ人混みに向けられていた。いるかどうかも分からない彼、ドクターの姿をずっと探しているのだ。


「沙織先輩っ・・」
『わっ!・・ど、どうしたの?マシュちゃん』


そんな私に突然耳元でこそっとマシュちゃんが話しかけて来た。


「捜しに行って来ていいですよ。ドクターのこと」
『あ、えっ・・でも・・・』
「大丈夫です!もし何かあれば、端末に連絡をください。最後の花火もぜひドクターと見てきてください!」


両手をぐっと握りながら、マシュちゃんが笑いかけてくれた。もう、なんて優しい子なんだろう。


『ごめん。その・・・ありがとう、マシュちゃん』
「いえいえ!では、足元気を付けていってらっしゃい、沙織先輩」
『うん。ありがとう!いってきます』


こんな人混みの中で、見つかるか分からないけど、私は愛しい彼を捜しに意を決して飛び込んだ。
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