第7章 【夏の思い出Ⅰ】FGO/ギル落ち
海の家で飲み物を二人分購入して、王様のところに向かいながら、限界だった私は道中ですでにメロンソーダを口にした。
『っぷはぁ!あー・・・あれは大ダメージでしたね・・』
さっきのことを思い出しながら、歩いていると、また頬が熱くなるのを感じた。何回見ても、ギルガメッシュ王のカッコ良さには慣れなかった。はぁ、っと記憶に酔いしれていると、ポスッと誰かにぶつかってしまった。
『うあっ、ご、ごめんなさい!』
「おっと、ごめんよマイロード。小さくて華奢な沙織
ちゃんが、私の視界まで届いてなくって」
『マーリン!すみません・・・って・・それ私のことチビって言ってます?言ってますよね!?』
「ははははっ、そんな風に頬を膨らませても、可愛いだけなんだけどなあ。あははは」
そうだ、と言ったマーリンは、そのまま私の手を掴んだ。
『な、なんですか?』
「藤丸くんたちが君を捜していたよ?私も彼女たちのとこに行くつもりだし、行こうか?」
『え、ちょと待ってください。マーリン!・・・マーリン!』
ぐいぐいと手を引っ張られるまま、私は立香ちゃんたちのところへと連行されていった。
浜辺に到着するなり、手に持っていた飲み物をマーリンに回収され、マシュちゃんと立香ちゃんに泳ごう!と言われた。あたりを見渡せば、サーヴァントのみんなは各々海へと繰り出していた。遠くで浮き輪に浮かんでいる子たちがとても可愛かった。
私は泳げない。浮き輪も見当たらなくて、オロオロとしていると、そんな私の両手を二人にとられる。
右手は立香ちゃん。左手はマシュちゃん。
「さ!沙織ちゃん!ごーごー!」
「安心してください!私がちゃんと沙織先輩の手を握っていますので!」
『うー・・でも、』
どうしても私と泳ぎたいらしい二人のお願い♡の眼差しに耐えられず、思い切って海に向かった。
お腹までつかるところまできて、ビーチボールで遊ぶことになった。ひんやりした水が気持ちいい。脚もしっかりつくところだから安心だ。
「もし、脚がとられても、私が必ず沙織先輩を助けます!」
『ありがとう、マシュちゃん!』
「マシュは頼りになるなー。あ、もちろん私もそのつもりだよ!それじゃ、いっくよー!」
やっと夏を満喫した気がした。何か、忘れ物をしている気はしたが。