第6章 【愛しいあなた】FGO/ロマン夢
そこは、白い雪が頬を撫でる寒い寒い山の上の施設だった。
心が崩壊していた私に、困ったように、よろしくねと貴方は微笑んで、頭をそっと撫でてくれた。
そこは、無機質な病室のような部屋だった。
何も希望を持てない私に、貴方は毎日会いに来てくれて、簡単な調査を終わらせ、他愛もない話をたくさんしてくれた。
そこは、燃え盛る炎の中だった。
呼吸もできず、朦朧とした意識の中で、生きたいと思って伸ばした腕を貴方は真っ先に見つけて掴んでくれた。
ゆっくりとまばたきをした。
そこは、綺麗な真っ白な世界だった。目の前には見慣れた貴方の真っ白な背中と橙色のふわふわした髪が見えた。
『なにしてるんですか?ドクター・・?』
ゆっくりと私の声に振り返った貴方は、みるみるうちに私の知らない誰かになっていく。ふわふわとした白銀の髪に黄金の瞳、褐色の肌の男だった。それは、ドクターのようで、ドクターでない。
『あ、なたは・・・誰?』
男は私に背を向けて歩いていく。ロマニがどこか遠くに行ってしまう。
『待って下さい、行かないで。・・・ドクター!』
私がいくら呼び掛けても彼は振り返らない。
『ドクター・・!行かないで!!どうして・・・っ・・ロマニ!!!』