第2章 【夜】FGO/ギル夢
まぶたをそっと開ける。
そこには、ひらひらと桜が舞い散る中。
大きな桜の木の下で、両親と一緒にはしゃいでいる小さな、私。
『これは・・・・』
ぐるりと周囲を見渡せば、そこは紛れもない懐かしき日本だった。それだけで目じりが熱くなる。
「おかーさん!おとーさん!」
「ふふふ、まるで桜の妖精ね、沙織」
「ほんと!日本一のお姫様だぞお!」
楽しそうに母の手作り弁当を囲んでいる、幼い私と両親。
その光景はまるで天国のようだった。遠い昔の記憶。もう、二度と手に入ることのない安らぎ。
『お母さん、お父さん・・・』
幻想と分かっていても、身体は正直で、ゆっくりと3人の方へ手を伸ばしていた。すると、急に三人が私の方へと振り返る。
『え・・・?』
私と目が合った途端に、両親はドサリと倒れる。その眼からは光はなく、さっきまで桜の花びらに囲まれていたそこは、深紅に染まっていく。
「お、とーさん?おかー、さん・・・?」
幼い私は不安げに二人の身体をゆさゆさと揺らしている。当然二人からの返答はない。
『っ・・・・ごめ、なさ・・』
よみがえる記憶。
血塗られた記憶
私のせいで、私の、せいで・・・。
みるみる先ほどの穏やかな光景が、深紅に染まってく。
「「「お前のせいで・・・!!!!」」」