第6章 夢語り【童磨】R18
「ゆっくり浸かるといい。京子が出てくるまで待っているからね」
俺の言葉にいつもは頷くだけの京子。
なのに今に限って
布団にくるまったまま、手だけを出し俺の服を握って離さない。
ここでゆっくりする時間はない。だってあと半刻もすれば陽が昇ってくる。
「少し、少しだけだよ。すぐに帰ってくるから、ね?」
そう声を掛けても京子は下を向いたまま、俺の服を強く握る。
京子には、これから俺が何をするのか解っているようだった。
「止めないで、京子。ここを出て行くように言うだけだから、ね?
極楽教の信者にあるまじき行為をしたんだから、それは当然だろう?」
その言葉を聞くと、ようやくそっと手を離し、だけど……震えたままで……
俺は布団ごと京子を抱き締めると、もう一度言った。
「湯の中にゆっくり浸かるんだ。そして全て洗い流せば、俺の大好きな綺麗な京子のままだよ」
今度は一つ頷いて、布団をずるずると引きずりながら湯殿に向かった。
俺は京子が湯殿に入るのを見届けると、すぐさま彼奴の所に向かった。