第6章 夢語り【童磨】R18
京子との穏やかな日は続く。
夜な夜な俺は、食事に出掛けるんだけどね。でも、それも少し減ったかなぁ。
なんでかなぁ?京子と一緒に居るだけで、心が満たされるような気持ちになるんだ。
なのに……俺と京子の穏やかな日常を、壊した奴がいた。
それは京子が13歳になったある日だった。
俺はいつものように、夜中、食事に出掛けていた。
夜が明ける前に、部屋に戻ると……
京子はガタガタと震え、俺の布団にくるまっていた。
「京子っ!?」
俺の部屋に自由に出入り出来るのは京子だけだ。どの信者も勝手に入って来ることはない。
俺は京子の元に駆け寄ると、力強く抱き締めた。
その時、全てが見えた。
京子は下を向いたまま、震えている。
彼奴だ……
信者のあの医者だ……
彼奴に……
いつも嫌な匂いがしていたんだ。
何故か、ふわりと互いから少しだけ匂いがしてくる。
でも彼奴はいつも京子を診ていたし、まさか俺のお気に入りに手を出すなんて、夢にも思わなかった。
彼奴は人間の皮を被った鬼だ……
あ、それは、俺も一緒かぁ……
でも“鬼畜”とは、彼奴の為にある言葉だな……
俺は初めて、腹の底から何かが煮えるような気持ちになった。
「大丈夫だよ。京子、大丈夫。そうだ、湯を浴びておいで。俺の部屋の風呂を使うといい。これからは、ここで湯浴みをするんだよ?いいね」
こんなとき、有難い言葉なんて浮かばないもんなんだな。自分が月並みな『人間』になった気がした。
だけど京子は、その言葉に安心したようにこくこくと頷いた。