第6章 夢語り【童磨】R18
だけど京子は、俺の顔を見ると……
にこにこと笑顔を振り撒く。
「お前には解るんだね、教祖様が素晴らしい事が」
違うよ。京子は……
解っているんだ。俺の事を。
ここでは俺に逆らっちゃいけないこと。
媚びている訳じゃない。これは京子が生き抜く為の術なんだ。
まぁ……俺もそこまで鬼じゃない。
いや、鬼か、、、しかも上弦の弐にまでなっちゃったしなぁー
なんだかここまで来るの、早かったよねぇ。
そんな事はどうでもいいか……
それよりも
「おいで」
俺がそう声をかけると、京子を抱いた信者が顔を上げる。
「なんと教祖様に抱かれるのですね。幸せな御子だ。京子は」
信者が俺に近づき、そっと俺の手の中に京子を置く。
「そうだなぁ、少しだけ二人にしてもらえるかい?」
「えぇ、えぇ。それはもう。本当に幸せな御子だ」
にこにこと嬉しそうに信者が部屋を後にする。
「京子、この名前でいいんだね?そう呼ばれたいの?」
俺が声をかけると、嬉しそうににこにこと笑う。
「そうか。やっぱり、子は親を……どんな親でも大事に思うもんなんだねぇ。あんな酷い事をされたのに」
じっと俺の顔を見つめてくる京子。
「あーー、ごめんね?悪口に聞こえちゃった?違うよ、きっと京子は、俺の元で幸せに暮らす運命なんだよ。ね?」
するとまた、にこにこと笑う。
「うん。大事に……大事に育ててあげるからね……」
俺は京子の頭を撫でる。そして、今度は俺がニヤリと笑い
「そのかわり……誰にも言っちゃダメだよ……」
大きな二本のキバを見せた。
京子は嬉しそうに笑うと、俺の頬に手をあてた。
小さく、温かい手だった。