第6章 夢語り【童磨】R18
お湯で綺麗に拭われ、信者である医者にも診せると栄養状態が異常に悪いと言われた。
「年の頃は一歳ぐらいだろう」
なんて言っていたけど、俺には解るんだよね。
この子は二歳だ。
ま、俺には一歳、二歳の差なんて関係ないんだけど。
最初は畜生みたいな臭いが充満していた子も、信者の皆が可哀想にと、かなり世話を焼いたおかげで、少しずつ健康な身体に近づきつつあった。
そう。この子は賭けに勝ったのだ。
ある日信者の一人がやってきた。
「教祖様。この子は日増しに健康になって行くようなのですが……いかんせん、表情が乏しくて……
名前もまだありませんので、皆が其々好きなように呼ぶので……それも原因の一つかと……
ぜひ、この子に名前を付けて差し上げては頂けませんでしょうか?」
ふーーーん、そんな理由でこの子の表情が変わるはずなんてないよ。
だってこの子……相手をしっかり見極めているんだもん……
誰に笑いかければいいか、はっきりと解っているんだよ?
でもそんな事を言っても、コイツらは理解できないからなぁ~……
「そうかい?じゃあ……そうだなぁ……名前、名前ねぇ……」
俺は悩むふりをした。
そしてまるで天からのお告げがあったように、上を向き眼を閉じる。
「名前は『京子』だ。うん。そうお告げがあったよ」
にっこりと微笑んで告げる。
「なんと良い名前を!流石、教祖様で御座います。良かったなぁ~
お前の名前は今日から『京子』だよ」
信者は嬉しそうに言ってるけどさ……
その名前……その子の糞みたいな母親が適当に付けた名前だよ。