第5章 藤の花の家紋の家 ~悲鳴嶼行冥~ 後編
バッ!!!と、突然、両の腕で私を引き離した。
「いたっ」
力の強い彼が 突然 掴んだ私の腕は 軽い痛みを覚える。
「!!!大丈夫でしょうかっ!」
私の声を聞いて焦る行冥君。
「あ、びっくりして……思わず声が……そんなに痛くはなかったから大丈夫!私が頑丈なのは知ってるでしょう?」
ふふ、と私が笑うと、少しほっとしたように息を吐く行冥君。
だけど……
「あれ……その腕……刺青……?痣……?」
私のその声を聞くと、行冥君が上着で腕を隠した。
「……いや、その……」
「?」
珍しく歯切れの悪い行冥君。
「時々……痣が……まだ上手く調節が出来なく……」
???
痣?痣って、調節して出たり消えたりする物なの?
私が不思議そうな顔をしていると
「京子さん」
真剣な面持ちで私の手を握ってきた。
「はい」
「今まで散々、私の我儘に付き合って頂いたのに、大変恐縮なのだが……」
「…………」
次の言葉は想像出来た。
「やはり……私は貴女と添い遂げられそうにない」