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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第5章 藤の花の家紋の家 ~悲鳴嶼行冥~ 後編


先生と正一君を家まで送って行くときも、正一君はやっぱり私達と手を繋いでいた。

だけど、行冥君が

「もっと高くしてあげよう」

そう言って、ひょいっと正一君を肩車した。

「うわぁー!ぼく、いま、鬼狩りさまより大きいよ!」

嬉しそうに行冥君の肩ではしゃいでる。


「いつか、正一君の目で色々な物を見るんだ。
 正一君が大きくなる頃には、鬼はもう何処にも居なくなっている」


「うん!」


行冥君の言葉は 自分自身に厳しい。だけど、いつも優しくて……


いつか本当に鬼は居なくなる。
そう思えた。


そしてさっきまで正一君が握っていた私の手は、今は


行冥君が握ってくれている。


大きなゴツゴツとした 岩のような手は……私に触れると凄く優しい手になる。


先生の家に着くと

「明日の朝、見送りには行けないと思うが……君の活躍を期待しているよ。君に会えて良かった」

「ごぶうんを!」


「有難う御座います」


深々と頭を下げる行冥君を私達は暖かい目で見守る。

そして先生達が家に入ると


「京子さん……その……急いで帰っても、宜しいですか?」


それって、早く二人になりたいって事だよね?


「うん……」


私が下を向いて返事をするやいなや、


「!!!」


行冥君は私を抱き抱えると、


ドンッ!!!


っと言う大きな音と共に、今まで感じた事のない速さで走りだした。


えっ?は、走ってる???飛んでるんじゃ……


私の頭がついていかない。
だけど、びっくりするほど早く、家に辿り着いていた。




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