第4章 藤の花の家紋の家 ~悲鳴嶼行冥~ 中編 【R18】
「お、叔母にまで……申し訳ないです……」
私がかなり湿った布団の上に正座して頭を下げると
「いえ、叔母様……少し嬉しそうに笑っていらっしゃいましたよ。貴女と同じ、温かな雰囲気の方ですね」
「……」
私がこの屋敷に来た頃から叔母はずっと、私の心配をしてくれていた。
だけど最近は物忘れも激しくなり、起きている時間もめっきり少なくなっていた。
「ありがとう……」
心からの言葉だった。
「いえ、私達も頂きましょうか?口に合うといいのですが……」
「はい!ありがとうございます」
パッと立ち上がると、私の内股にドロッとした物が流れてきた。
こ、これは昨夜の行……
私の動きが止まった事を察知した行冥君が
「どうしました?」
「え、え……っと、あの……」
「?」
「中から……その……昨日の……」
ガタガタガタッ!!!
「す、すいませんっ!!!」
焦った行冥君が、お膳をひっくり返しそうになった。
いつも冷静に対応する行冥君なのに……
思わず
「ふふふっ」
と笑い声が漏れた。
「貴女にはみっともない姿ばかり晒しているようだ……それよりこちらへ……」
行冥君が私に手を差し出す。
「だ、大丈夫!ちょっと先に厠へ……ごめんなさい」
「いえ……やはり私が……」
ぐいっと私の腕を掴まれると、私はあっさりと行冥君の膝の上に座ってしまった。