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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第4章 藤の花の家紋の家 ~悲鳴嶼行冥~ 中編 【R18】


「私は心の目で、見ております」



私の言葉を遮り、言い切る行冥君……




とうとう私は、ポロポロと泣き出してしまった。

「…………う」


すると行冥君は

「泣かせるつもりは無かったのですが……申し訳ない……」

と言って抱き締めている手は緩めず、もう片方の大きな掌で私の顔を撫でてくる。

ゴツゴツとした大きな手。

「違うの……謝らないで……ごめ……なさ……」

どうしよう、涙が止まらない……


大きな手が私の背中を擦る。


「貴女こそ、誰にも謝る必要などないのです」


その言葉に、ずっと我慢していた物が溢れ出た。


ずっとずっと苦しかった。


実は私の身体は、女人のわりにかなり大きい。
行冥君を支えようとしたり、きっと普通の女人なら出来ないだろう。

身体の大きな私は、身体の小さな家系に嫁いだ。

身体の大きな子を沢山産んで欲しいという、嫁ぎ先の願いだった。

なのに子供が出来ない。

身体が大きい嫁の居場所なんて、何処にもなかった。夫の横で安心した気持ちも、一度も持ったことがなかった。


なのに行冥君といると、心地いい。
自分の大きさを気にしなくてもいいから。

彼の腕の中に、すっぽりと自分の身体が収まる。


初めての経験だった。




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