第3章 藤の花の家紋の家 ~悲鳴嶼行冥~ 前編
「君、最高位の一歩手前じゃないか!」
「はい。まだまだ修業中です」
「何言ってるの!?凄いことだよ!!!
いや、それより聞いた事があるな……
柱になる人物は呼吸を上手く使い、怪我の治りも異常に速いと……」
「???」
二人の会話、と言うか、先生の言葉の意味が全くわからない。ひめじま君に至っては、何故か酷く恐縮しているようだった。
「だがな、君は生身の人間だ。今、乙だからと言って無理をしてはいけないよ。
生きて戦ってこその、鬼殺隊であり柱なんだ」
「はい」
「しっかりと怪我を治す事が、何より大事なんだ」
あ!この内容はわかった!
「そうだよ!ひめじま君!今は、ゆっくり休んで!さっき、耀哉君から手紙が来てたよ!」
「かっ、かが……君!?お館様のことでしょうかっ!?」
何故か突然、ひめじま君が焦って大きな声を出した。
「そうなの。私ね遠縁にあたるの。本家の当主だから呼び方を変えないといけないんだけど、耀哉君が変えなくていい、って……昔から知ってるから、つい……」
「なんと……やはりお館様は……」
???そう言うと大きな数珠を手にかけ、ぶつぶつと手を合わせながら呟くひめじま君……