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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


「京子ちゃんの事は、私達ももちろん手伝うよ」

禰豆子がにっこりと笑って言った。

「だって愈志郎さん出来ない事が多すぎるでしょ?」

そう言いながら禰豆子が指を折って数え出す……

料理、洗濯、日に当たれない等々……

「それだけ解っているなら、俺が人の子を育てるなんて無理な話だと……」

「大丈夫だよ。愈志郎さん掃除が上手でしょ?それを京子ちゃんに教えてあげて!ねっ!」

ニコーーーッと俺の目を見て笑いかける禰豆子に、善逸が

「ダメっ!禰豆子ちゃんっ!そんな風に笑いかけちゃ!俺だけを見ててよーーーーーっっっ!!!」

いつもの汚い高音で叫んだ……

呆れてまた何時ものような目で善逸を見ていると

「大丈夫だ、善逸。愈志郎さんは珠世さんしか見えていないから。
 ね、愈志郎さん」

禰豆子と同じようにニコーーーッと笑顔の炭治郎が言った。



……


そうだ。俺には珠世様だけだ。
だけど そんな当たり前のように言われても……
今、俺の目の前には珠世様はいないんだ。
それでも、そんなことは関係ない と言うような炭治郎の態度は、正直有難い。

俺だけじゃないんだ。

珠世様を覚えているのは。


だけどいつか……


珠世様だけじゃない。

俺の事も……



いつまでも知られていてはいけない存在なんだ。


俺は……





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