第7章 愛する人【愈史郎】
「戦争はこれだけでは終わらないと思っています」
炭治郎が体を揺らしながら言った。
「この国の領土が狭いから、まだまだ土地を増やしたいんだろ?」
饅頭を食べ終わった伊之助が、茶を啜りながら珍しく真面な事を言ったので、皆がびっくりした様な顔で見ている。
「てめえら!馬鹿にしてんのか!?そんなの戦の基本だろうがよっ!!!」
そうか、本能から出た言葉だったのか、と皆がある意味ほっとしていると
「でも本当にそうなんだ。きっとまだまだ続くよ……ずっと夜中まで話しているのが聞こえてきたんだ……」
善逸の言葉に皆が俯いた。
「今、町に戻っても復興する前に、また新しい戦争が始まってしまう。
だったらこのまま、ここで皆で状況を見ながら過ごすのもいいんじゃないのかな?
ここに居れば、愈史郎さんのおかげで住む事も食べる事も困らないしね」
にっこりと笑う炭治郎。
その腕の中で、赤ん坊は気持ちよさげに寝息をたてている。
その言葉に
「俺が出来るのはここまでだ。あと感じているのは、きっとこのまま小さい戦争を続けていると……
いずれもっと大きな戦争になって、日本は痛い目を見るだろうな……」
「あぁ、間違いねぇ。それはひしひしと肌で感じてる」
伊之助も年をとり一家の大黒柱になると、やはり真面な事を言うようになるんだな、と、改めて思った。