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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


「そうなの!愈史郎さんね、すごく京子ちゃんの事を大切に思っているの!
 さすが善逸さん!解ってくれるのね!」

……禰豆子が、目を輝かせて善逸に同意している。

「当たり前だろ?俺は耳が良いからね」

何故か気取って言う善逸に、

「そんなの最初から見てりゃーわかんだろうがっっっ!!!俺だって解ってたわっ!!!」

伊之助が饅頭を口一杯に頬張りながら叫んだ。

「……」

俺が黙って様子を見ていると、今度は炭治郎が

「このままこの村に、皆で住めばいいんじゃないのか?近くには空き家もあったみたいだし」

「私もそう思ってるの」

先程まで赤ん坊に乳を飲ませていたカナヲが、赤ん坊を抱きながらこちらに来て言った。

今度は炭治郎が赤ん坊を抱き、背中をトントンと叩きげっぷを促す。

けぽっ、と小さなげっぷを赤ん坊がすると今度はゆっくりと寝かしつけるように揺らし始めた。

「慣れたもんだな」

俺がポツリと呟くと

「はい。小さい時は今だけなので。カナヲ一人に任せるのは惜しいですよね」

そう言って愛おしそうに我が子を見つめる炭治郎。

「炭治郎は、上の子供達もそうやってずっと見てくれるのよ」

幸せそうに穏やかに笑うカナヲ。

あの日の……

無惨戦でボロボロになったのが嘘のようだ。



だけど……




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