第7章 愛する人【愈史郎】
その日の夜は皆で簡単な宴会のようになり
子供達もはしゃぎすぎて疲れたのか、早々に床に就いた。
そして大人達だけの話しになった ――――
「びっくりしたなぁ、二人からは信頼の匂いがするんだ」
相変わらず鼻が利く炭治郎に
「そうだよ。俺、愈史郎さんがあんなに優しい音を出せるなんて知らなかったよー
ねー?禰豆子ちゃんっ♪」
耳だけが異常に良い善逸。
帰ってきてから、一時も禰豆子からぴたりとくっついて離れない善逸に、流石の禰豆子も鬱陶しそうだ。
何故、その音を聞き取らない?
俺が冷めた目でみていると
「えっ?本当の子供じゃないのかっ?」
馬鹿な質問をしてくる伊之助に
「当たり前だ。俺には子供は作れない」
俺が冷たく言い放つと
「ごめんなさい。伊之助が馬鹿なのは解るんだけど、その目は止めて……居たたまれない……」
アオイが謝りながら、止めに入った。
いつものような目付きになっていたようだ……
「誰が馬鹿だっ!!!」
「アンタよっ!!!」
伊之助とアオイの口喧嘩が始まったが、炭治郎が慣れた風に間に入る。
「いや、伊之助が言う事も解るよ。俺も本当の親子のように感じたんだ。なぁ、善逸」
「本当にそうだよ!そう思ったよ、愈史郎さん!」
「ほら!見てみろ!俺様の言った通りじゃねぇか!」
伊之助が胸を張って、此方を見た。
だが
「感じるのは勝手だが、本当の親子でもなければ、俺には育てる事も出来ない」
俺のその言葉に、水を打ったようにしんと静まり返り、全員が押し黙った。