第7章 愛する人【愈史郎】
「……」
思わず黙る俺の後ろから
「炭治郎!」
赤子を抱えたカナヲがやってきた。
「カナヲ!!!無事に産まれたのか!」
炭治郎がカナヲに向かって、笑顔で駆け出した。
「うん。愈史郎さんが取り上げてくれたのよ」
「そうなのか!?」
勢いよく此方に振り向くと、また笑顔で
「ありがとうございました!!!」
と叫んだ。すると
「あのおじちゃん、ずっと ありがとうばっかりだね。おとしゃん、ありがとういっぱいだね」
嬉しそうに俺に笑いかけてくる京子に、カナヲから赤子を受け取った炭治郎が
「無事に皆の元に帰ってこれた事も嬉しいし、新しい家族に会えた事も、とても嬉しいんだ。
全て愈史郎さんのおかげなんだよ」
京子以上の笑顔で笑いかける。
「おとしゃん、すごいね!おとしゃんの、おかげだって」
何故か自分が褒められたかのように喜ぶ京子を見て炭治郎が
「そうだよ。君のお父さんは凄い人なんだよ」
また笑いかける。
その声を聞いて、凄い勢いで善逸がこちらにやって来た。
「ちょっと、ちょっと!!!どういう事なのぉ!?何があったの!?いや、それよりも!!!
愈史郎さんっ!!!
禰豆子と子供達の事、ほんっとうにありがとおおおおーーーー!!!!!」
相変わらずの汚い高音で、鼻水を垂らしながら喚く善逸……
まぁ、礼を言いにくるだけマシか……
なんて思っていたら、アオイに腕を引っ張られ伊之助も此方に来た。
「アリガト……
で、いつ子供作ったんだ?」
ニヤニヤと笑う伊之助の頭を、アオイが思いっきり殴った……