第7章 愛する人【愈史郎】
しばらくすると大きな声が聞こえた。
「ぐわっははははーーーーー!!!親分様のおかえりだ……っ!!!」
「ね、ね、禰豆子ちゃあああああーーーーんんん!!!」
先頭を切って走っていた伊之助を、足の速い善逸が屋敷に着く直前に抜かして、門をくぐってきた。
「おい、こらっ!何、抜かしてんだテメー!子分のくせにっっっ!」
抜かした善逸の襟首を掴み、今にも喧嘩が始まりそうになった時
「こらっ!伊之助っ!!!手を離すんだっ!!!」
アオイが飛び出してきた……
今までと全く変わらない光景に、頭が痛いやら、何故だか ほっ とするやら……
しかし余りの激しいやり取りに、京子がびっくして俺にしがみついてきた。
まぁ直に慣れるんだろう。
俺は抱き上げてやると、京子がぎゅっとしがみついてきた。
「ほら、あいつらが、兄ちゃんと姉ちゃん達の父親だ」
「お、おとしゃんなの?」
京子がチラリと善逸の方を見た。すると
「ただいま!愈史郎さん!皆を助けてくれて、ありがとうございます!!!」
大きな声を上げて低く頭を下げる、炭治郎がいきなり目の前に現れた。
「!!!」
びっくして、また俺に抱きつく京子。
「あぁ。お前らも無事に帰ってきたな」
「はい!ありがとうございます!
で、その子は……愈史郎さんのお子さんですか?」
炭治郎が大きな瞳を、より一層くりくりとさせ俺に聞いてきた。