第7章 愛する人【愈史郎】
季節が変わった。
だか未だに皆でここにいる。
何度も皆が住んでいた場所に足を運んだものの、何も変わらない。
いや、それよりも酷くなっていってる。
それに比べると此処はまだ少し田舎なので、学校もあるし、女達は近くの農家に仕事に出掛けたりしている。
軽い術をかけているので、特に不審がれることもなく皆も此処に馴染んできていた、ある日……
「あ……」
「どうしたの?愈史郎さん?」
夕飯の支度をしていた禰豆子が、手を止めて聞いてきた。
「彼奴ら……帰ってきたぞ」
「ほんと!?善逸さん達!?」
弾むような声の禰豆子に
「あぁ、直に此処まで来る」
俺も少し笑って答えてやる。
「みんなーーー!!!お父さん達が、帰ってくるよーーーー!!!」
大きな声をあげてバタバタと庭に走り出した禰豆子を見ていると、京子が俺の横にやってきた。
そして俺の手を握り、上を向いて聞いてきた。
「みんなの、おとしゃん?」
「あぁ」
「京子のおとしゃんは、ここにいるよ、っておしえてあげるの」
にこーーーっと笑うその笑顔に、俺は何も言えなくなった。
「ほら、お前ももう少し遊んでこい」
俺は京子の背中を押して、庭に向かわせた。