第7章 愛する人【愈史郎】
皆が俺の用意した屋敷に来て、十日程たった。
最初は俺にべったりだった京子も、次第に子供たちと仲良くなって、よく笑うようになっていた。
まぁ、昼間はほとんど俺は部屋に籠っているから、自然と仲良くなった感じだ。
カナヲ達も、誰の子も分け隔てなく、可愛がったり叱ったりしていたから、それも良かったのだろう。
ただ、やはり夜になると俺の布団に潜り込んではくるんだがな……
そんなある日
「ここは、ごはんいっぱいあって、いいね。たのしいの。みんなだいすき」
京子が、突然そんな事をいい出した。
「京子ちゃん、前は御飯……少しだったの?」
カナヲが優しい声で聞いた。
「うん……おとしゃん、いなくなってから……しらないとこいって……」
そう話しながら、視線を落とす京子。
「でもいまは、おとしゃんいるから、ごはんもねえちゃんもにいちゃんも、みんないっぱい!
ね!たのしいね」
今度は俺に笑いかけてきた。
皆の視線が俺に向けられた。
「そうだな。皆いて楽しいな。だけどな京子。口に物が入ってるときは、話すなよ。汚いだろう?」
肩をすくめた京子が、うふふと笑うと
口の中の物を呑み込んでから
「はぁーい。おとしゃん!」
と満面の笑みを俺に向けてきた。