第7章 愛する人【愈史郎】
市街地に出ると、夜なのに明るい箇所がある。
まだ燃えているんだ。
夕方だったか……爆撃の音が聞こえていた。
おれは先日、撒けなかった“目”を撒いておいた。
彼奴らが帰ってきたら、直ぐに気付けるように。
まぁ、彼奴らなら間違いなく何があっても俺達の処に辿り着くんだろうが……
はぁ……
なぜこんなにも、未だに彼奴らに拘わってしまうのか……
放っておけばいいものを……
ただ……時折……炭治郎と話すのが、楽しかったのだ。
唯一、俺と共に珠世様を覚えていてくれる炭治郎と……
禰豆子はなんとなくは覚えているようなのだが、最近は以前よりも増して、鬼だった頃を覚えていないようで……
あんなに良くして貰ったくせに、薄情な奴だ。
俺は一人ごちると、はぁーーーっと大きく溜め息を吐いた。
まぁいつか……誰も知っている奴が居なくなるんだ。
俺だけが覚えていればいい。
俺だけが……俺だけの珠世様を……
ただ……
彼奴らと拘わってしまったからか……
まさか、あんな子供を拾う事になろうとはな……
俺は以前 京子が指差した方角にも、“目”をばら撒いた。
何か京子に関わる手掛かりを拾えるかも知れないと……