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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


「どうしようか……」

禰豆子がまたポツリと呟いた。
すると

「うちで育てる。きっと、炭治郎もそう言うと思うから」

そう平然と言ってのけるカナヲ。

このご時世、自分の子供を育てるだけで手一杯のはずだ。

だが、炭治郎なら確かにそう言うだろう。

「だけど……一緒に行くかなぁ?京子ちゃん」

そう言いながら、此方を見たのはアオイだ。

「おい。どうして俺を見る」

「愈史郎さんに懐いてるから」

「父親だと勘違いしているんだ。違うと解らせれば問題ないはずだ」

「まぁ、そうなんだけど……」

「だいたい考えなくても解るだろ。鬼の俺が子供を普通に育てられる筈がないことぐらい」

俺が一息にそう告げると

「そぉ?食事の躾は、ちゃんと出来てたよ?」

禰豆子がニコッと笑って言った。

「それに普通に育ててあげたい、って思ってるんでしょう?」

アオイが畳み掛けるように言い放つ。

「いや、そんな意味で言ったわけじゃ……」

ニヤニヤと笑う二人を他所に、カナヲが

「でも、当分の間は私達もここから動けないわけだし……皆で過ごして、それから考えよう。
 何が一番 京子ちゃんの為になるのかを」


問題は先送りか……


まぁ、今はこの意見が一番マトモだろう。
そう思った俺は

「一度、外の様子を見てくる。お前たちは外に出るなよ。術がかかっているから、戻ってこれなくなる」

早口で捲し立てるように伝えると
なんとなく納得しない気持ちを抱えて、外に出た。







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