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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


珠世様は紅茶がお好きだった。俺もそのお陰で、紅茶等の飲み物はこうやって一緒に嗜める。


そうだ……俺は


珠世様と二人、ゆったり茶を呑む時間が好きだったんだ。

紅茶だけはいつも、珠世様が淹れてくれていた……


俺が思い出に浸っていると、今度は大きな泣き声が聞こえた。


「京子ちゃんだわ」

カナヲがさっと立ち上がった。だけど、禰豆子がそれを制する。

「座ってて大丈夫だから。愈史郎さん、行こう」

「……あぁ」


また京子のいる部屋に戻った。今度は、


「おとしゃ……おと……しゃ……」


大きな声で泣きじゃくっている。

俺は思わず禰豆子の顔を見た。すると小さな声で

「寝ている時にお父さんがいなくなったから、泣いているのよ。ほら、行ってあげて」
「いや、俺は父親じゃない」

俺がキッパリと言い切ると

「もうっ!泣いてる子にくらい、優しくしてあげてよ!ほらっ」

どんっと背中を押してきた。


いや、俺、結構親切にしてやってるだろ?
どうしてそれ以上に要求をしてくるんだ!?

そうは思っても声には出さない。
女に逆らうのは面倒だからな。

俺はベッドに腰をかけ、京子の背中をトントンと撫でてやった。

すると京子は、ぎゅっと俺に抱きついてきて


「おと……しゃ……」


そう言うと頭に汗をかいたまま、また眠りについた。


そして俺も……


背中に手を当てたまま、


深い眠りに入っていた……





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