• テキストサイズ

せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


「おい、俺は奥の部屋にいるからな」

子供達に飯を食わせている禰豆子とアオイに声をかける。

「もう夜明けだね……」

白んで来た空を見て禰豆子が言った。
その言葉に続けてアオイが

「私達も食べ終わったら、少し寝ようか」

子供達は口を動かしながら、既に船を漕いでいる。
もちろん京子もだ。


「布団はそこに入ってある。勝手にやれよ」

「ありがとう愈史郎さん」

にこーっと禰豆子が笑うと、禰豆子の子供達も笑った。


俺はそれには返事をせずに、一番奥の、日の当たらない部屋に向かった。




バタンと戸を閉めると、ベッドの上にゴロリと転がった。


そして大きな溜め息をついた。



俺は珠世様のおかげで、少量の血で充分に事足りる。
最近はその血すらも、あまり欲しなくなってきていた。
それと俺は禰豆子を真似て、出来るだけ眠るようにしている。それも良かったんだろう。


だけど……


あれは効いたな……



カナヲが出産の時に出た……血の匂い……


出て来た胎盤の匂いと感触……




それを少しでも欲しいと思った俺は……やはり……



間違いなく“鬼”なのだ、と


思い知らされた気がした。






/ 156ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp