• テキストサイズ

せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第7章 愛する人【愈史郎】


夜道を皆が黙々と歩く。

子供達も、皆、我慢強い。

目の前で家が焼け落ちたり、人が死んで行くのを見ているからか……

こうやって一緒に歩いているだけでも、ほっとするんだろう……だが、


「おい」

「……」

カナヲが脂汗をかいている。

「お前……まさか……」

「ま、まだ大丈夫……」


その声を聞いて

「もしかして!」
「陣痛が始まったの!?」

アオイと禰豆子が声を上げると

「う、うん……」

カナヲが小さく返事をした。

「間隔は?」「何分!?」


「……ご、5分?くらい……かな……」

遠慮がちに答えたカナヲに、二人が息を飲んだ。


「おい、それって……」

「お願い!愈史郎さんっ!急いで家まで連れて行って!!!」

禰豆子が叫んだ。

「わかった。お前らは茶々丸についてこい。迷うなよ。カナヲを置いたら、直ぐ迎えにきて、お前らのどちらかを連れて行く」

俺はそう言うと、ぱっと茶々丸を出した。
何人かの子供達はそれを見て、びっくりしていたが、京子と言った子はじっと見ていた。


「お前もこいつらと一緒に来い。わかったな」

俺は京子の目を見て、頭にポンと手を置きながら言った。

すると京子は

「おとしゃん、いっしょ?」

「……後で合流する」

そう言うと

「うん。やくそくだね」

と言って小指を絡ませ少し不安そうに、でも笑いながら

「ゆびきりげんまん、だよ」

なんて言ってくるので


「……あぁ」


そう呟くと、カナヲを横抱きにして先に屋敷に戻った。




/ 156ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp