第10章 壊れた関係
「セナ........大丈夫?」
さらりと、私の髪をゆっくりと撫でて、義元さんが見つめる。
「っ、大丈夫です。ごめんなさい恥ずかしい所を見せてしまって........気をつけます」
その優しさから、私は逃げる様に離れた。
「セナ俺は..............」
逃げる私の手を掴み、義元さんはまだ何かを言おうと口を開く。
「あ、あの、もう時間ですよね?私、メイク直してもらってきますね」
「セナ!」
義元さんの手を振り解いてメイク室へと急いだ。
「.....................っ、」
心は複雑だ。
社長を好きだと言う気持ちに嘘はないのに、優しくされるとどうしても心が揺らぐ。
.......でも、もう迷わない。
どんなに冷たくされても、彼が好きだと彼に言い続けたい。
走る姿に一目惚れをしたのあの日から今日まで、彼を好きになった事を後悔したくない。
冷たく冷めた目でも、見つめられるだけで痛いほどに胸が騒がしくなるのも、触れられるだけで身体が熱くなるのも、何もかもを彼だけ。
私が好きなのは、織田信長だけなのだから。