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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第10章 壊れた関係




「はい、じゃあ本番行きます。..............よーい..........スタート!」



映画の撮影期間は約3週間程。
学園モノの為、廃校になった校舎での撮影か、スタジオ内に設けられたセットでの撮影がほとんどで、撮影も後半に入って来ると、スタッフさんや演者さん達との連携も良い感じにまとまって来ていた。



「はいカットォ!オッケーでーす。ここから昼休憩に入りまーす」


スタッフさんの合図で、みんながそれぞれの場所へと散っていく。



変わらないみんなの態度や雰囲気に、ここに来ると自分でいられる気がしてほっとしていた。





「お弁当、食べないの?」

午前の撮影が終わり、中々箸の進まない私に義元さんが心配げに声を掛けてくれた。


「あっ、義元さん、.....うーん、ちょっと....ダイエット?」

全てを見抜かれていそうな義元さんの真っ直ぐな目を直視できず、目を逸らした。



「..................嘘、ついてるね」


「..........っ、」


「みんなは騙せても俺は騙せないよ。セナは食事制限はしないって言ってたよね?それに......」



「え、何?」

焦る私に構わず、義元さんは手を伸ばすと、私の髪を少し横にずらして耳の後ろをつついた。


「ここに痕が.....、セナには分からない所に誰かがつけた痕がついてる」


「嘘っ............!」

そんな所についてるの!?

動揺して慌てて手で隠した。

痕だけは、仕事に支障が出ないように、見えない所にしてくれていると思ってたから.....



「さっきのシーンで君を抱きしめた時に見えた。君が見えない所にわざとつけるなんて、まるで君を監視してるみたいだ」


いつもは穏やかな義元さんが口調を荒げた。


監視............

その言葉はあながち間違ってない。


もう私が裏切らない様に、よそ見をしない様に、彼は私を毎晩抱いて、私は彼のものなんだとこの身体に言い聞かせる。


それはまるで、愛されているかもと錯覚してしまいそうな程で、けれど彼は決して私の告白には応えてくれない。


いつ飽きられるのかは分からない、彼次第のこの関係に、私は何もできないでいた。


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