第9章 すれ違う心
「し、社長?....くるしい....」
あまりにキツく抱きしめるから、腕が痛くて息苦しい。
「......なぜ...約束を違えた?」
「えっ?」
「貴様の初めては全て俺がもらうと言ったはずだ」
「わ、分かってます。だからちゃんと..んんっ!」
噛み付くようなキスで唇を塞がれた。
「黙れ、貴様は信用ならん。もう、これ以上は待たん」
「っ、...................」
今までとは違う、怒りと情欲に満ちた彼の目...........
「っ、.........ちょ、まって............ふ、ん」
荒々しく重なる唇と絡みつく舌に呼吸を奪われ、すぐに立っていられなくなった。
彼はそんな私を抱き抱え部屋に入ると、ベッドへと乱暴に降ろした。
「っ、社長話を................あっ!」
聞く気はないとばかりに、私の服を強引に脱がせると、社長自身も上の服を脱いだ。
「っ、...............」
こんな状態でも、初めて見る彼の裸はとても鍛え上げられていてきれいで、ドキンッと胸が跳ねる。
「..........セナ」
ブラとショーツだけにされた私を押し倒し見下ろすと、彼の熱い手を身体中に滑らせた。
「っ.................」
はっきり言えば、電気を消して欲しいけど、荒々しい彼の態度から、彼が怒っていることは明白で、そんな事はとても言える雰囲気ではなかった。
ただ、これから抱かれることに対して、不思議と怖さはなくなっていて、そのまま抱かれようと彼に身を委ねた。
静かな部屋の中、聞こえてくるのは肌と肌の触れ合う音と、シーツの音。
肌と肌が触れ合うのはとても特別な気がして、彼の、特別な存在になれたような、そんな錯覚に陥りそうだった。
お腹の辺りから上にかけて、彼は何度もキスを落とし、時折チクッと軽く痛みが走った。
彼の手が私の背中へと入り込み、少し体を浮かせてブラのホックを外すと、そのまま取られて投げ捨てられた。