第9章 すれ違う心
「ああ、やはりセナの所にも送られてきたよね?」
現場に行くと、義元さんはけろっと笑って言った。
「はい。.......あの、ご迷惑をかけてすみませんでした」
「どうして謝るの?よく撮れてたよね、あの写真」
「はい本当に、よく撮れててって、そういう事じゃなくて、あの写真、週刊誌に載せたくないならお金を払えって...........」
「まぁ、彼らも仕事だからね。俺はセナとなら別にいいけど、セナの事務所が払う事にするなら、今回は俺もそれに従うよ」
「それは、これからどうするか決めるってマネージャーが言ってました。でも本当に、すみませんでした」
「だから、どうしてセナが謝るの?誘ったのは俺なのに」
「だって、写真を撮られるって分かってたら、変装とかちゃんとしてもらえたのに、私、気が利かなくて」
義元さんは、私生活は公にしてないってケイティは言っていたし、本人も一人になりたくて大学のあのベンチに来てたった言ってた。そんな人がこんな写真を撮られて嫌じゃないわけがない。
「.......良かった」
「えっ?」
「俺と出かけなければ良かったって言われなくて良かった。セナ、俺はね、別にセナとなら撮られても良いって本気で思ったから変装もしなかったし、この間は楽しかったんだ。セナは違うの?」
真っ直ぐに私を見つめる義元さんの目は本当に綺麗で、優しくて........
「私も、この間はとても楽しかったです。でももう二人で出かける事はできません」
その優しさに、私は甘えたくなってしまうから.....
「私、好きな人がいるんです。だから........」
私は弱くてズルイから.......