第8章 心の隙間
ーそして土曜日ー
うぅ〜どうしよう......
義元さんのイケメンスマイルに絆されて、つい今日のデートをオッケーしてしまった。
男の人と2人で出掛けたことなどもちろんない。(ケイティはノーカウント)
それに、別にデートと言っても義元さんは役作りの為だと言ってたし、何も意識することなんてない訳で....
あんな紳士なイケメン、彼女もいるに決まってる。
私だって、社長と言う契約上の彼氏もいるわけだし.......(かなりバーチャル彼氏みたいな存在だけど....)
『セナ、契約は続いている。貴様の初めては俺が全てもらうと言う約束を違えるな』
この間エレベーターで言われたあの言葉.....
このデートも社長の言う初めてに入るのかな...?
確かめたくても、所属タレントと社長なんて、おいそれと会える訳もなく、連絡先すら知らない私はどうしようもない。
それに、デートに行きたいならケイティに言えとかなんとか言ってたし、社長の言う初めては身体の事だけで、後は含まれていないと私は結論づけて、デートに行く事にした。
とは言え、どこに連れて行ってくれるのかもわからないし、相手は何と言っても歌舞伎界のプリンス龍様。話し方もそうだけど、食べ方とか歩き方とか、一つ一つの所作が本当に綺麗で、やはり緊張してしまう。
社長も、一つ一つの動作は荒々しくて男らしいけど、育ちの良さはやはり所々の所作に現れていて、こっちはこっちで見惚れてしまう。
「って、私気が多過ぎでしょ!」
イケメン二人の事をあれこれ思い浮かべて悶える自分に
一人ツッコミしながらエレベーターに乗った。
「...................わっ、社長!」
ちょうど社長のことを考えてたから、乗り込んだエレベーターに社長が乗っていてびっくりした。