第7章 キャンパスライフ
「違うわよ。少女漫画を映画化するらしいわよ。知ってる?【せんせいとわたし】って漫画」
「知らないけど......」
「内容ちょっとだけ聞いたけど、きゅんきゅんする内容だったわよ。龍様が新卒で入ってきた高校教師役で、アンタがその先生に恋する高校二年生の生徒役なんですって。禁断の恋ってヤツ?キスシーンは絶対あるわよね。あの龍様とよ〜」
きゃーと言いながら、ケイティは何だか盛り上がっている。確かに、彼はとても上品なイケメンだったから、ケイティが盛り上がるのも分かる。
急な映画のヒロイン抜擢の話に、嬉しいを通り越してびっくりだけど、義元さんに今すぐお礼を言いたくなった。
「......私、今から学校行ってくる。義元さんいるかもしれないから、会ってお礼が言いたい」
「そうね。それがいいわ。送りましょうか?」
「ううん、仕事じゃないし大丈夫。ありがとう」
「分かったわ。台本とか顔合わせとか、色々また決まったら連絡するわね。とりあえずおめでとう」
ケイティは、ここ最近では一番ご機嫌な顔で去って行った。
急いで着替えた私は、学校に行く途中のカフェで、コーヒーとラテとサンド2つを購入してこの間のベンチへと向かった。ケイティに調べてもらったところ、家康は今日は朝からスタジオ入りをしていて学校に行ってないらしいけど、義元さんには何故か会える気がしていた。
そっとこの間のベンチを覗くと、
「義元さん!」
やっぱりいた。
「............... セナ?」
美術誌を手に、義元さんはベンチに座っていた。
「ここに来たら会えるかなって思って。横いいですか?」
「もちろん」
義元さんはにっこりと笑うと、「ちょっと待って」と言ってベンチを軽く手で払ってくれ、「どうぞ」と言ってくれた。本当に紳士だ。